アスペルガー(Asperger)は、自閉症の特徴を持つ発達障害のひとつで、「対人関係やコミュニケーション能力に問題」があるとされる障害と「反復的な行動、興味・同一性へのこだわりに問題」があるとさる障害が挙げられます。
「自閉症」が言葉の発達の後れ、コミュニケーションの困難などの特徴を持つのに対して「アスペルガー症候群」では、言葉の遅れがなく、コミュニケーションが比較的とりやすいことから、区別して取り扱うことが一般的でした。
しかし、対人関係に困難があり、ものごとに強くこだわりを持つといった共通性をもとに、総合的にその多様性に対応していこうと、光の色がスペクトラムに分散するイメージから、自閉スペクトラム症と呼ばれるようになっています。
[box03 title=”本サイトでの用語について”]
※ 厚生労働省によれば、アスペルガー(Asperger)症候群、自閉症、広汎性発達障害、と色々な名称で呼ばれてきた障害は、2013年のアメリカ精神医学界(APA)の審査基準の発表以降は、自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)]としてまとめて表現するようになりました(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html)。本サイトでは、アスペルガー症候群を中心に取り扱っているので、アスペルガーの用語を使用しています。
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知的障害や言葉の発達には問題がないので、幼少時には発見されないことも多く、大人になってからアスペルガー症候群だと診断される人も多いんですよ。少し前までは障害という認識すらなかったので、周りから「故意に嫌がらせしている」とか「無神経な人」と勘違いされ、生き辛い思いを強いられていた人もたくさんいました。
そのような状況が生み出されている原因が障害であると分かっても不安はなくなりませんよね?「なんで私だけみんなと違うのだろう」「私っておかしい人間なんだ・・・」そんなふうに思ってふさぎ込んでしまう気持ちも分かります。
しかし、実はアスペルガー症候群というのは決して珍しい障害ではなく、約4000人に1人の割合で発症すると言われています。本人が気づいていない場合もありますし、気付いていても生活に支障がなく医者の診断を受けていない場合もあるので、実際に該当者はもっと多い数だろうといわれています。
こんなに数が多いのですから、もちろん社会で普通に就職して働いているアスペルガー症候群の方も多くいます。症状には個人差があるので問題なく生活できている人も多いでしょう。しかし、中には「どうしてこんなに働きにくいんだろう・・・」「職場が辛くてたまらない」という人たちも存在します。
アスペルガー症候群は、脳機能障害であるとされてはいますが、原因はまだ解明されていません。したがって、アルペルガー症候群そのものを完治させる治療法も未確立です。
したがって、対処療法として、アスペルガー症候群によって生じている色々な症状、人間関係で生じるトラブルを軽減させるといった対応がとられています。職場では、仕事の適性化、周囲の理解、環境調整などが行われます。
「やっぱり障害のある私が働くなんて無理なのかも・・・」
と、くじけそうになる気持ちも分かりますが、実はそれは業種が合っていないだけかもしれません。自分の気質や性格に職種が合っていないと働くのが辛いというのは、障害者も健常者も変わりません。
なので、今回はアスペルガー症候群の性質に合った職種・仕事を紹介していきましょう。
アスペルガー症候群ってどんな障害?
アスペルガー症候群というのはコミュニケーションや社会性において対人関係が上手くいきづらいとされる障害で、明確な原因は現在も解明されていませんが、何らかの脳機能の障害だと考えられています。この障害の代表的な症状として、
「コミュニケーションの問題」
「対人関係の問題」
「特出した興味・こだわりの問題」
などがあげられます。ではそれぞれどういった症状なのか見ていきましょう。
コミュニケーションの問題
アスペルガー症候群は言語的にも知能的にも問題はないので会話は無理なくできますが、相手の気持ちを上手く読み取ったり、細かいニュアンスを感じ取る能力に乏しいので、会話を何でも額面通りに受け取ってしまう傾向があります。
なので会話の裏の意味に気が付かなかったり、冗談に上手く対処できずにトンチンカンな受け答えをしてしまうことも多いんです。日本人独特のあいまいで遠回しな表現が苦手で、オブラートに包むような言い方ができないことが多いので、言い方がキツくなってしまったり、気を遣えないと思われてしまうことも多いようですね。
対人関係の問題
アスペルガー症候群はときに「共感能力がない」と思われがちですが、決してそんなことはありません。きちんと喜怒哀楽はありますし、相手の気持ちを理解することもできます。小説や映画に感情移入して泣くことだって珍しくはありません。
しかし、相手の気持ちがどう動くのか、という想像性に関しては鈍いところがあり、応用力がないのでアドリブに弱いという特徴があります。また、自分の行動がどういった結果を生むか、というのを読む能力も乏しいので、集団や社会から浮いている行動をとってしまうことも多いんです。
特出した興味やこだわり
アスペルガー症候群の人は興味があることには一直線に集中し、他のことは何も見えなくなるという特徴があります。問題などを抱えているとそれを解くのに集中し、食事や睡眠を忘れてしまう方も少なくはありません。
社会人としては問題があるように思えますが、同時にものすごい集中力という強みがあり、また、膨大な記憶力があったり、IQが高いアスペルガー症候群の人も多く存在します。
アスペルガー症候群に向いている職業・向いていない職業
向いている職業
アスペルガー症候群の人は一つのことに集中したり、こだわる人が多いので研究職などは向いているでしょう。また、コミュニケーション能力が低いとはいっても長く付き合っている人に対してはパターンも分かってくるので、同じ空間で同じ人たちとコミュニケーションを取るような研究室やオフィスなどであれば比較的問題はありません。
また、デスクワークなども問題なくこなせますし、実際に事務職やコンピュータープログラマー、システムエンジニアなどで働いているアスペルガー症候群の人は多いです。独創性がある人も多いので、デザイナーや絵描き、物書きなどで生計を立てている人もいますよ。
向いていない職業
集中力がある一方で、とっさの対応力がない、相手の表情や感情を読むという能力は低いので接客業や人と触れ合うサービス業などは不向きとされています。直接人と接することはなくても談話対応なども苦手としている人が多いのでクレーム対応なども難しいかもしれませんね。
また、複雑な人間関係を理解したり、人によって対応を変えるなどもアドリブ力もないので、職場自体の人間関係が複雑で、高いコミュニケーション能力が求められるような職場も避けた方が良いかもしれません。
アスペルガー症候群って障害者手帳もらえるの?
知的障害、身体障害、精神障害などの場合は障害者手帳が発行されるというのは有名な話ですよね。「そんなものもらったら逆に就職不利になるんじゃないの?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、職場によっては「障害者枠」というものがあり、障害者手帳があれば他の人とは別枠で就職できる可能性が高いんです。職場によっては「障害者枠」であっても希望の業務に就けることもあるんですよ。
そしてアスペルガー症候群の場合も障害者手帳は発行してもらえます。しかし、医師の診断書が必要になるので、精神科医の先生に相談してみるといいでしょう。診断書を貰って市役所に提出という形になります。「アスペルガー症候群は身体障害や知的障害と違うから障害手帳もらえないでしょ?」と思って諦めている方が多いので、発行して欲しいという方はぜひお早めに医師に相談してみて下さいね。
どこで就職先を探したらいいの?
アスペルガー症候群のいろいろな症状が分かってきたので「結構就職先あるんじゃないの?」と、思う方も多いでしょう。しかし、やはり当事者からすると不安ですし「どこで就職先探したらいいのかな?」「断られないかな?」と悩んでしまうものです。
良く知られた方法としては、普通の職探しと同じでハローワークや就職案内所で希望の就職先を探すケースです。ハローワークも場所によっては障害者のための専門職員や相談員が配置されているので、そこで相談するのが安心でしょう。
ただ、ハローワークより、もっと希望にあった就職先や転職先を多く知りたい方や、内定率を高めたい場合は、民間でおこなっている障害者のための総合就職・転職サポート会社がおすすめです。こちらも無料登録すると専門のアドバイザーがおすすめの職業を探して紹介してくれます。就職後もフォローしてくれるので、特に、長く続けられるか不安という人にはおすすめですよ♪
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